山形新聞掲載記事からです。
ご参考くださいね。

掲載新聞の内容を全文を下記に転記しました。


賃貸住宅の契約を解除して退去するときに、預けておいた敷金や保証金などが
きちんと返還されないトラブルが後を絶たない。
借主が部屋を破損したりしない限り返還されるものだが、
家主が負担すべき畳や壁紙の交換などのリフォーム費用まで差し引かれるケースが多い。
話し合いで解決できない場合は、少額訴訟制度の利用も有効だ。
借主の保護、支援活動をしている特定非営利活動法人(NPO法人)の
「日本住宅性能検査協会」(東京都中央区)では、ここ数年敷金返還をめぐる相談が増えているという。
大谷昭二理事長は「極端な例では、家賃139,000円のマンションを退去したところ、
本来返されるはずの敷金14万円でも足りないとして200万円余りを請求された人もいる」と
話す。

国土交通省(当時は建設省)が1998年に作成した「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン」によると、借主が負担するのは「通常を超える使用による損耗などを復旧すること」。
住んでいる間に、自然に壁の色があせたり、畳の色が変わったりしても、
借りた当時の姿に戻すことまでは求めていない。


こうしたトラブルが増えていることから、東京都は2004年に賃貸住宅紛争防止条例を策定した。
退去する際に借主が負担すべき原状回復費用などについて、同省ガイドラインを基に具体的事例を提示、仲介する不動産業者らに対して契約時に借主に説明することを義務付けている。

ガイドラインがあるにもかかわらず、鍵や畳の交換、ルームクリーニングなどの費用を
借主負担とする特約条項を盛り込んだ契約書に署名捺印させる業者もいる。
だが、それらは本来支払う必要のない費用である上、
消費者の権利を一方的に害する契約を無効とする消費者契約法10条にも抵触する可能性が高い。

消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「納得できないと思ったら、消費生活センターや
弁護士会などに相談するといい。
それでも解決しなければ裁判になる。退去するときには、念のためにきれいなままの箇所を含めて、
部屋の全箇所をくまなく写真撮影しておくこと」とアドバイスする。

裁判に持ち込む場合、請求額が60万円以下なら、簡便な少額訴訟制度が使える。
借主か家主の住む地域の簡易裁判所で、備え付けの訴状に必要事項を記入、
証拠として賃貸借契約書や重要事項説明書、敷金の預かり証、間取り図、
退去時の写真なども提出する。


手数料として請求額10万円ごとに1,000円分の収入印紙と、
連絡費用などのための3,910円分の切手も必要。
指定された日に裁判所に出廷すれば、原則として一回の審理で判決や和解に至るという。

退去にともなう敷金清算のご相談の窓口は、
上記の消費生活センターや弁護士、司法書士になります。

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